作成日:2026-10-21。状態:作成者側の選定案。利用者の確認前で、実装・宣言・例・期待は作成しない。原理の草案49 の§6.4 と§11 で次の作業に挙げた「R4 の実資料評価と、薄い臨床ライブラリの試作範囲の選定」を、vision の応用目標(医療者の操作と接続先の分離、AI が使える情報整理)に結び付けて選びます。利用者の指示(2026-10-21「コミットして、先に進めて」)を、この選定を先に行う指示として扱いました。選定の確認後に、これまでと同じく設計・手指定の期待を実装の前に固定します。外部データは取得していません。独立確認・評価用正解の凍結は未実施です。
1. 何を選ぶのか
これまでの P2-b〜P2-n は、拡張契約の側(意味・版・継承・資源)を、架空の語彙で検証しました。vision の応用目標は、まだ検証していません。
医療者が観察・判断・実施内容を入力し、臨床ライブラリが版付きの意味・文脈・時点・由来・確認状態を保持する共通表現にし、出力先の体系・版・用途に応じた接続処理が出力を作る。出力先が変わっても、入力と根拠付きの補助情報で出力先の要求を満たせる範囲で、医療者の操作は変わらない。足りない情報は推測で埋めず、追加の観察・確認を求める。(vision)
選ぶのは、この主張を試す最小の断片(薄い臨床ライブラリ)の範囲と、その評価に使う資料です。UI、LLM、DSL の文字列構文、実マスターの変換器、データベースは範囲外で、試作の枠 と AGENTS.md の方針を維持します。
2. 現在ある部品
| 層 | 既にあるもの | ないもの |
|---|---|---|
| 共通表現 | 期間つき数量の記録・内容指定の確認・部分訂正(P2-g、P2-i)、精密化(P2-k)、版と継承の宣言(P2-l、P2-n) | 医療者の操作から共通表現を作る層 |
| 出力 | 型付き表示と問い(P2-h、P2-j)、基底単位への厳密換算(P2-f)、二時点の比較(P2-m) | 出力先が要求する情報を宣言する形。要求を満たせるかの判定と、足りない情報の要求 |
| 不足情報 | P0 の needs_information(K14 の P15)、P2-b・P2-e・P2-k の information_requests |
出力先の要求の変更(版の更新)に伴う、操作の増減の測定 |
| 版・互換 | 拡張・仕様・宣言の版の手順(P2-d、P2-l、P2-n) | 操作と出力先の版の組の互換 |
3. 候補の比較
基準は草案49の K1〜K5(仮説を外れ得る形で試せるか/既存の断片を変えずに足せるか/まだ試していない変化類型に当たるか/規模が小さく外部データを使わず D03 の保留を侵さないか/反例を先に作れるか)に、次の二つを加えます。
- K6:vision の応用目標(操作と接続先の分離、AI が使える情報整理)を直接試すか。
- K7:直接変換ツールの完成を目標の代わりにしないか(vision の原則)。
| 候補 | 内容 | K1 | K2 | K3 | K4 | K5 | K6 | K7 | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| L1 操作 → 共通表現 → 出力先の要求 | 医療者の操作(記録・確認・訂正)を共通表現へ結ぶ薄い層と、出力先の要求を宣言として持つ接続(満たせる/情報が足りない/表せない)。要求の版を上げたとき、操作がどれだけ変わるかを測る | 強い(H1・H4・H5・H8) | 既存の断片は変えずに足せる見込み。足りなければ、それ自体が契約の不足の証拠 | 用途・制度・地域の違い、実装の変更(未検証) | 小〜中。架空の語彙だけで始められる | 作れる(K14 の延長) | 直接試す | 該当しない | 選定案 |
| L2 複数の出力先の射影だけ(C7) | 既存の P2-h・j・m を、同じ共通表現からの出力として並べる | 中 | 変更なし | 同上(小) | 小 | 作れる | 一部 | 該当しない | L1 に含める(要求の宣言と不足情報の要求が、L2 を超える部分) |
| L3 CPC 二版の版更新監査(R4、D04) | RxNorm CPC 2026-09-08 → 2026-10-05 の参照更新候補と意味監査 | 中(H6・H7) | 新しい R5 が要る | 定義・知識の修正(実資料) | 中〜大。実データは data/(Git 管理外)。三 RRF の読み取り、独立確認者がいない |
追跡票あり | 中間目標の検証。応用目標は試さない | 注意が要る(中間用途のため) | L1 の後。目的を取り違えない |
| L4 FHIR Procedure R4 → R5 の時点の型 | 構造定義の版差(performed[x] → occurrence[x])の追跡 |
中 | 新しい読み取りが要る | 表現形式の変化(実資料) | 中。HTML 取得済み | 作れる | 一部 | 同上 | L1 の実資料の足場の候補(§5) |
| L5 LLM・画面 | AI の候補生成、医療者向けの画面 | - | - | - | - | - | 直接 | - | 範囲外(実装は合意した作業範囲に沿って進める) |
L1 を選ぶ理由:応用目標を直接試し(K6)、既存の P2 の断片を再利用でき(K2)、反例を先に作れ(K14 は既に手で指定した問題設定)、直接変換ツールの代わりにならない(K7)。L3 は、実資料を使う点で価値がありますが、vision の中間目標の検証で、応用目標を試しません。
4. L1 の範囲(案)
4.1 ライブラリの操作(フロントエンド側)
医療者の入力を、素のコードや hash を扱わずに共通表現へ結ぶ、3つの操作に限ります。
| 操作 | 医療者が与えるもの | 共通表現への結び付き |
|---|---|---|
| 記録 | 対象、観察項目、期間、値と単位、検体・方法(あれば)、確度、由来 | P2-i の記録と数量(内容 hash はライブラリが計算し、医療者は扱わない) |
| 確認 | 記録を指定して「確認した」 | P2-i の内容指定の人の確認 |
| 訂正 | 期間を限った値・文脈の訂正 | P2-i の部分訂正 |
AI が出した候補は ai_candidate として記録し、人の確認まで確認済みとして扱いません(既存の規則のまま)。
4.2 出力先(バックエンド側):要求を宣言として持つ
出力先ごとに、要求プロファイルを JSON のデータとして宣言します(コードを書き換えず、要求の版を上げられるか、が問いの一つです)。
| 出力先(架空の語彙) | 要求の例 | 既存の部品 |
|---|---|---|
| D-A 記録画面の一行 | 単一点の値、表示の桁数 | 表示の射影(P2-h・j) |
| D-B 数値の交換 | 基底単位の厳密値、検体の既知。版 v2 では方法が必須になる(K14) | 厳密換算(P2-f)、記録の文脈(P2-g・i) |
| D-C AI 向けの縦断の要約 | 同じ文脈の二時点、独立な変数の前提の明示 | 縦断比較(P2-m) |
各出力先は、共通表現と、参照時点・対象時点・要求プロファイルの版を受け取り、次のいずれかを返します。
| 結果 | 意味 |
|---|---|
satisfied |
要求の各項目が、確認済みの記録から出所つきで得られた。出力と、保持・喪失・追加を返す |
needs_information |
足りない項目と、何を追加で観察・確認すれば満たせるかを返す。推測で埋めない。AI の補完は確認済みにしない |
not_representable |
共通表現の内容を出力先が表せない(例:幅のある値を一行に潰す)。失う区別を返す |
4.3 検証する問い
| ID | 問い | 外れ得る形 |
|---|---|---|
| Q1 | 出力先の要求を、コードでなくデータの宣言として持てるか。出力先を足すとき、共通表現とライブラリの操作を変えずに済むか | 要求の表現に、共通表現側の変更が要る |
| Q2 | 要求の版を上げたとき(D-B が v1 → v2)、既に情報がある入力では医療者の追加の操作が 0、ない入力では不足している項目の数だけになるか(K14 の P2 での実現) | 操作が増える、または不足を推測で埋める |
| Q3 | 出力ごとに、保持・喪失・追加が根拠つきで返り、出所(記録・確認・由来)が全ての出力で辿れるか | 出力で出所が失われる |
| Q4 | ai_candidate の値が、要求を満たすことに使われずに、追加情報の候補として提示されるだけか |
候補が確認済みと同じに扱われる |
| Q5 | 既存の契約(七欄・主題 A〜H・クラス・継承)で足りるか。足りない場合の不足は何か(新しいクラス、主題、宣言の関係) | 新しい不足が出る(それ自体が結果) |
4.4 含めないもの
画面・UI、LLM、DSL の文字列構文、実マスターの変換器、永続化、請求の確定、診断や治療上の判断、複数患者の集計。
5. 実資料での評価(案)
実資料の使い方を、二段に分けます。
- 第一段(架空の語彙だけ):§4 を架空の要求プロファイルで実施する。外部資料を使わない。
- 第二段(公開仕様に要求の一つを接地する):D-B の要求の一つを、公開仕様(HL7 FHIR R5 の Observation と Specimen の構造定義、CC0)の必須・推奨の要素に対応させる。FHIR の必須要素の内容は未確認(D03 で選定したのは Procedure の R4・R5。Observation・Specimen は参照材料として挙げただけで、取得していない)。第二段では、一次資料で確認してから使い、D03 の台帳に追加する。FHIR の要素への適合を、医学的な正しさや FHIR への適合の主張にしない。
CPC の版更新監査(L3)は、L1 の後に別の段階として扱います。実データは data/research/r4/(Git 管理外)にあり、D04 の条件(一方向、出典 RXNORM、独立確認者なし)を維持します。
6. 利用者に決めてほしいこと
| ID | 決めること | 作成者の推奨 |
|---|---|---|
| U1 | L1(操作 → 共通表現 → 出力先の要求)を P2-o として進めるか | 進める |
| U2 | 第二段で FHIR の Observation・Specimen の構造定義(CC0)を取得し、D-B の要求の接地に使うか。使う場合、D03 の台帳に追加する | 第一段の結果を見てから決める(第一段は架空だけで進められる) |
| U3 | CPC の版更新監査(L3)を L1 の後に置くか、並行して進めるか | L1 の後 |
確認が取れたら、設計 と同じく、七欄・主題 A〜H・予測・反例を実装の前に設計文書と手指定の期待に固定し、実装・内部評価へ進みます。この選定は、薄い臨床ライブラリが医療者の負担を減らすことの証明ではなく、その主張を外れ得る形で試す最小の範囲の選定です。